リスク評価の定義

医療リスク評価

医療リスク評価は、COVID-19医療へのアクセスと提供における複雑さ、感染症の有無、気候および環境要因、セキュリティリスク評価、医療搬送データ、交通外傷のデータ、救急医療の水準、外来・入院の医療ケア、正規医薬品の入手のしやすさ、文化・言語または行政上の障壁など、様々な要因を考慮したうえで評価しています。

総体的な評価は一地域一つとなっていますが、実際には同域内でも医療状況は大きく変動します。例えば主要都市では高水準の医療を受けられますが、僻地や郊外においてはそのアクセスが制限されることがあります。

医療リスク:低い

全国的に国際水準の医療が提供されます。専門医による高度な治療が可能です。
高水準の救急医療や歯科治療が提供され、品質の信頼できる様々な処方薬が入手可能です。
感染症のリスクは低いです。

一般的に必要な医療アシスタンス:
医療機関の紹介、言語や文化の違いにおける支援、支払い。 避難が必要になることは滅多に
ありません。

医療リスク:中程度

限られた医療機関では、国際水準を満たす医療が提供されます。信頼できる救急サービス、
限定された専門的治療や歯科治療はおおむね提供されますが、食品・水を介しての経口感染症
には注意が必要です。マラリアや腸チフスなどの感染症にも注意が必要です。

一般的に必要な医療アシスタンス:
質の高い医療提供者の選択、医療の綿密な監督。手術を要する病気・怪我は、搬送が必要な場合があります。

地域によって医療リスクが異なる国

ひとつの国の中でも主要都市とその他の地域で医療水準に違いがある国が該当します。
・主要都市:限られた医療機関では、国際水準を満たす医療、救急サービス、歯科治療、
信頼できる品質の処方薬が提供されます。
・その他の地域:医療や救急サービス、歯科治療はベーシックな対応しか提供されない場合が
あります。信頼できる品質の処方薬の入手が難しいという懸念があります。
食品や水を介した致命的な感染症に罹患する可能性が場所により異なる場合があります。

一般的に必要な医療アシスタンス:
・主要都市:質の高い医療提供者の選択。時として搬送が必要な場合があります。
・他の地域:利用可能な最善の治療の選択、ケースモニタリング、より質の高い施設への搬送。 中等度および重度の病気・怪我は搬送が必要な場合があります。

医療リスク:高い

専門的治療は期待できません。基本最低限の救急サービス、医療および歯科治療はベーシック
な対応しか提供されない場合があります。信頼できる品質の処方薬の入手が難しいという
懸念があります。食品や水を介した経口感染症のリスクが高く、マラリア、腸チフス、コレラ
などの感染症が脅威をもたらす可能性があります。

一般的に必要な医療アシスタンス:
利用可能な最善の治療の選択、医療の綿密な監督、より質の高い施設への搬送。
入院を要する状態の場合、国外搬送が必要になることがあります。

医療リスク:極めて高い

信頼できる医療がほぼ提供されていない、あるいは提供されていても需要に追いつかず機能していません。プライマリーケア、救急サービスおよび歯科治療が、ほとんど利用できない場合も
あります。信頼できる品質の処方薬の入手は極めて困難です。食品や水を介した経口感染症の
リスクが高く、マラリア、コレラなどの深刻な感染症が脅威をもたらす可能性が常にあります。またそれが感染症のアウトブレークを引き起こす可能性があります。

一般的に必要な医療アシスタンス:
利用可能な最善の治療の選択、医療の綿密な監督、より質の高い施設への搬送。
軽微な健康問題を除いたすべてのケースで国外搬送が必要となる可能性があります。

セキュリティリスク評価の定義

セキュリティリスク評価は、テロ、反乱、政情不安や紛争、宗派間・共同体間・民族間の暴動、そして凶悪犯罪から軽微な犯罪も含めた、従業員が直面する可能性のある脅威を
評価したものです。また交通インフラの安定性、労使関係の状況、治安機関や救急サービスの有効性、自然災害による影響を受けやすいかどうかなどの要因も含め、全従業員に
対し深刻な影響を与える全般的なリスク環境も加味し評価しています。

セキュリティリスク:極めて低い

凶悪犯罪の割合はとても低いです。特筆すべき暴動や政情不安、宗派・共同体・人種間の
対立や外国人を標的とした暴力はありません。治安機関や救急サービスは有効に機能しており、
インフラは強固です。交通機関は高水準で安全運行され、混乱や障害はまれです。ストライキ
などの抗議活動が、運行に支障をきたすことも滅多にありません。

セキュリティリスク:低い

凶悪犯罪の割合は低く、人種や宗派間の争い、政治的な暴動、政情不安もまれです。
テロの脅威があったとしても限定的であり、起きることはほとんどありません。治安機関や
救急サービスは有効に機能しており、インフラは強固です。ストライキなどの抗議活動や、
交通機関の混乱も滅多にありません。

セキュリティリスク:中程度

定期的に政情不安が起こるほか、激しい抗議活動、反乱およびテロ行為が散発します。
出張者や海外勤務者は、宗派・共同体・人種間の暴動や凶悪犯罪に遭遇するリスクがあります。治安機関や救急サービス、インフラの質にはばらつきがあります。ストライキなどの抗議活動が、移動に影響を及ぼす可能性があります。

セキュリティリスク:高い

デモなどの抗議集会がしばしば激化し、法に基づく治安維持など国の機能が
有効に稼動していないことに対して不満を持つ抗議者が、外国人を標的にすることもあるため、従業員は凶悪犯罪やテロの深刻な脅威に直面したり、巻き込まれたりする可能性があります。
また安全上の理由などから、国の一部には出張者が立ち入れない地域があります。

セキュリティリスク:極めて高い

国の大部分で政府の管理が及ばず、法の支配に基づく治安と秩序がない状態です。
従業員を標的とした武装グループによる襲撃など、深刻な脅威があります。公共サービスや
交通機関はほとんど機能せず、安全上の理由などから、外国人は国土の大部分の地域に行く
ことができない状態にあります。

地域的な変動

セキュリティリスクゾーンは、従業員が直面するリスクがその国の総体的なリスク環境
とは異なるエリアで、通常必要とされる準備のレベルも異なります。


(1) 総体的な評価は一国につき一つとなっています。ただし、COVID-19の影響は各国の地域、例えば州・郡・市によって、大きく異なる可能性があることに注意が必要です。
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